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会社は株主から資本金という形で金を借りているようなものですから、当然その利息を支払うわけです。
ただ普通の借金の利息のように「年七%」といった決まった率でなく、もうかったときには多く、あまりもうからないときには少なく、損をしたときには全く配当をしません。
その会社に縁故があって仕方がなく株主になった人でないかぎり、配当のない株を持ちたがるわけがありません。
やはりうんと配当をしてくれる会社の株を持ちたがるのは当然でしょう。
したがって高配当の株は値段が高く、無配当の株は額面金額を下回ることがあります。
たとえば十円の配当をしているA株、六円の配当のB株、無配当のC株とがあるとA、B、Cいずれも額面金額が五十円であってもA株は二千円、B株は五百円、C株は三十円といった場合があります。
このように株価はまずその会社のもうけが大きいか小さいか、もっと具体的にいえば配当金が多いか少ないかでその株の値段にだいたいのメドがつきます。
無配当の株よりも六円の配当のB株の方が、B株よりも十円の配当のA株の方がそれぞれ値が高くなるのはわかりますが、A株の二千円、B株の五百円という値段はどう決まるのかが問題になるわけです。
それは利回りというものによるのです。
利回りとは、ある一定の額を投資した場合、一年間に受取ることのできる報酬(利子とか配当とか)が、その投資額の何%に当たるかという「率」を意味します。
銀行預金の場合は最初からそれがハッキリしていて「年六%」といったぐあいに明示されていますが、株式の場合は、配当率が変動するうえ、株価も動きますので、利回り計算が重要になってきます。
株価の「成長性」とは、わかったようなわからないような、曖昧な表現ですが、主として次の二点で説明できるでしょう。
一つは収益性の向上、他の一つは株価自身の上昇です。
まず収益性とは会社の収益を意味するといっていいでしょう。
戦後の日本経済は世界にもまれな急成長をとげました。
したがって企業も(全般的に言えば)売り上げ・利益ともに急成長をとげました。
その急成長は当然、配当金支払いにも寄与してきます。
ただ、企業はもうかってくると一株当たりの配当金をやたらにふやす方針をとらず、増資(新株式の有償発行)をします。
新しい資金を手に入れて機械をふやしたり、新工場を建設したりして、生産額を上昇させ、さらに売り上げ・利益をふやそうとするのです。
したがって、利益が十倍になっても一株当たり配当金は十倍にはなりません。
せいぜい五〇%増とか、二倍とかいう程度でしょう。
なぜなら、企業は新しく株式を発行すれば、その株式保有者にも配当金を払わなければならないからです。
たとえば一億の株式を発行しているA社が、年間十億円の利益をあげ、そのうちの五億円(一株当たりにすれば五円)の配当金を支払っているとします。
翌年A社が五千万株の新株式を発行(増資)して、しかも年間利益が前年より五〇%増の十五億円に達したとします。
その場合一株当たりの配当金も五〇%増の七・五円を払ったとしたら、A社の支払い配当金総額は十一億二千五百万円と、前年の十二・五%増しになります。
とてもこれだけ支払えません。
そこでしばしば企業は前年と同じ配当に止めることがあります。
しかし、なんといっても利益が五〇%も伸びたのですし、先行きはまだかなり明るいとなれば、五円配当を六円とか六円五十銭とかにふやすケースも少なくありません。
これが株式の魅力の一つなのです。
これまで五円配当の株式を1%利回りの計算で買っていたとすれば、このA社の株式の値段は五百円か限度だったのですが、同じ1%利回りでも、配当金が六円五十銭になれば六百五十円まで買える計算になるからです。
事実、株価はそうした増配がはっきりするにつれ上昇し、六百五十円以上になることもありうるのです。
つまり株主は、配当金の増加のほかに、手持ち株式の評価額も上昇するという二重のメリットが出てくるのです。
こうした現象は、停滞した経済の下ではごくまれで、やはり高成長経済なればこそのものです。
そして成長経済が続くかぎり、前述のメリットを一度ならず二度も三度も享受することができるのですから、株価も理論的利回り(こんなものが存在するかどうか疑問ですが)をはるかに下回る低利回りを出現させるのです。
次に「株価の上昇」という要因は、実は原因なのか、結果なのかはっきりしないのですが、現実の問題としては、低利回りの重大な原因として存在します。
それは次のような事情からです。
株式に投資しようという人は、配当金目当てのほかに、株価の上昇をかなり期待しています。
というより、配当金が多少ふえようとも、株価が下落してはなんにもならないのです。
つまりどちらかというと、配当金よりも株価上昇の方が大事とさえ言えます。
株式は買う人が多くなれば値上がりするのですが、「値上がりするから買うのだ」という逆の言い方もできるのです。
この会社は成長がいちじるしい。
売り上げばかりか利益もぐんぐん伸びるだろう。
となれば当面の配当もふえようし、今後増資を何回やっても配当率は下がるどころかふえるかもしれない。
したがって自分だけでなく、他の人々もこの株をほしがり、株価はかなり上昇するかもしれない。
買うなら今だ。
こんなぐあいに考える人がふえれば、その人たちの考え通りに株価が上昇し、理論利回りよりも低くなるわけです。
そして株価が上がれば上がるほど人々の買い気が強くなっていきます。
こうした現象を「人気相場」とも呼びますが、いったんある程度の人気を得てしまうと、その株は低利回り(株価としては高水準)のまま安定するのです。
もちろんすべての株がそうなるわけではありません。
斜陽産業とか、株式をあまりにも発行しすぎた会社とかの株価は人気を失って上がりませんから、多少配当金をふやしても株価は上がりません。
しかし全般的に言うと株式には成長性があるという実感が現在定着しています。
その背景には税制とか、換金制とか、インフレとの関係とかがかなり大きく存在しているのですが、その点についてはあとで説明することにしましょう。
このほか株式の採算には無償増資とか株式配当とか、株式分割などの特殊な要因も加わって利回りを低く(株価を高く)しています。
無償増資とは、会社の中に積立てられている再評価積立金や資本準備金を資本金に振り替える代わりに株式を株主に無償(タダ)で渡すという特殊の形の増資です。
株式がふえた分に見合って配当金が減ったのでは、株主にとって少しもプラスになりませんが、普通こうした場合は配当金を減らさないケースが多いので株主に喜ばれ、したがって株価が高くなる要素を含んでいるわけです。
また株式配当とは、配当を現金で株主に支払うのをやめ、配当金に見合うだけの株式を発行して株主にタダで渡す方法です。
これによって会社側は現金流出を避けることができますし、株主(投資家)にとっても、成長の見込みのある会社の株ならその株自身が価格上昇することを期待できますから、現金で配当をもらうよりも喜ぶのです。
最後の株式分割とは、形は無償増資に似ていますが、再評価積立金や資本準備金がなくともできます。
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